勝手な電子工作・・

勝手なオリジナル電子工作に関する記事を書きます

番外編:勝手な分光器の作り方(2019.6.7一部更新)

 

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上の写真は筆者が作った分光器で撮ったものです(上が白熱電球、下が蛍光灯)。その作り方を説明したいと思います。ごく簡単な工作です。

数年前になりますが、秋葉原の道端にLEDが様々並べられたたき売り?らしい。覗いてみると、中に特別まぶしく感じる安いLED電球があるので購入して調べてみたところ、400nm付近の紫外線が少し出ているのに気づきました!

そうこうするうちに、LED照明を比較する分光器を作りたくなります。秋月にしっかりとした分光センサーが出ていますが、センサーだけで数万円ですから趣味に使うにはちょっと。。浜松ホトニクスのセンサーは、値段さえみなければすぐに試したくなりますね。

http://akizukidenshi.com/download/ds/hamamatsu/c12880ma.pdf

そこをこらえて他の方法はないかとWebを調べると、海外サイトにLinear diffraction gratingという分光フィルムが100円程ででているではないですか! 5枚求めたら数日後にイスラエルから航空便で送られてきました。送料無料でした(サイトを今みると郵送料加算)。

分光フィルムは薄いフィルム上に1ミリ当たり1000本が「けがき」されているシートです。この凹凸による光の回折によって分光します。プリズムより使いやすくてガラスによる吸収もないというわけです。

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これを通して電球を覗くと、左右に一定角度離れた場所に回折で分光した電球の虚像が見えます。

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モノは試しです、これを使って分光器を作ってみます。といっても実験用ですから紙の菓子箱に作りました。Webで調べたら、それまでの市販の高価な光学的分光器はどれも分光させた「実像」を用いているのに気づきました。つまりスクリーンに分光した像を結んで観察します。分光器としての説明もその方がしやすいでしょう。

しかし、虚像もみたり撮影したりできます。本当はそれがずっと明るいわけで、カメラのピントも合わせやすいため、詳しく観察しやすい筈です。第一にそのほうが装置が簡単ですぐにできます。この場合のスクリーンは黒でなければなりません。単に光を直接みやすくするだけで、ピントをそこに合わせるというものではありません。

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写真で左上に設けたのが採光用のスリットで1mm幅程度ですが、その虚像にピントを合わせることになります。

右下に覗き穴を開け、ここに分光フィルムを粘着テープなどで取り付けます。この箱の場合はたまたま、まっすぐ正面の位置に虚像ができますから、それが見やすいようにそのあたりに黒い紙をはっておくわけです。

覗き口は写真を撮る撮影口でもありますが、次の写真のように作りました。

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スリットから太陽光(直接でなく白紙をフィルターにする)や、100W白熱電球をかざしてみると、スペクトルが一様に分布していることが分かります。どちらも虹の色が全て含まれています。

下の写真は一番上が100Wの白熱電球、次が某社の電球型昼白色蛍光灯、3番目が某社の昼白色LED電球(青がいくぶんか強くなっています)、4番目があまり有名でないメーカの昼白色LED電球で、次々に撮った画像を並べました。ただし露出を完全に固定したわけではありませんので、明るさは必ずしも完全にこのとおりというわけではありません。

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さて、2番目の蛍光灯では、スペクトルがはっきり出ているので、LEDでも赤、緑、青の発光スペクトルだけが撮影されることを期待しました。ところが色は3色しか写っていませんが、スペクトルの途中部分も薄いですがその色だけで埋まってしまっています。

不思議なことです。今後、理由をさらに調べたいと思います。撮影にもう少し工夫が要るかもしれません。原因*がわかったら撮りなおしてこのページを更新したいと思います。

*その後、露出設定が原因と推測されました。次の新しい記事では動画を直接測定しながら過剰な露出を検出して、デフューザーを挿入して改善することができました。次のリンクをご参照ください。

デジタル分光器 - 勝手な電子工作・・

 

当記事は当面は電子工作ではないため番外編としますが、そのうちに何とか工夫して電子工作にしたいと考えています(それが上記リンク)。

明るい虚像が得られるわけなのでCMOSで撮影し、波長別輝度を表示すればできるかと思います。ただし、赤外線の領域まで調べるには、デジカメでもWeb用カメラでも、CMOS撮像面の前にあるハイパスフィルター=赤外線抑止フィルターをとり外す必要があります。

ためしに蛍光灯の輝度のBMPファイルから数値をプロットしてみましたが、みかけとだいぶ合いません。もう少し落ち着いて調べてみたいと思います。・・・その後、同じ写真をMCAソフトで調べたら次のようになりました。まだ、横軸が正確にあっているかどうかを詳しく見ていませんが、これならば電子工作でいけそうですね。(このグラフ追加を含めて2019.6.7に更新しました。)

 

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さて、電子化していない状態でのこの最初の出番は、レーザーカッターの工作で必要な防護メガネの点検でした。レーザー部品にオマケでついてくる防護メガネはすぐにはなかなか信用できません。所要波長を正しくカットしているのかどうかを、事前に調べて使いたいと考えましたが、こういう用途には番外でも十分実用的です。

次の写真はレーザー防護用のオーバーグラス(一番上以外はオマケの付属品)をこの装置で調べた例です。

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測定結果は次ですが、順番が上の写真と違っています(すみません^^;)。上から順に白熱電球のスペクトル、減光用(黒)オーバーグラスを介したもの、赤だけ通すもの(赤)を介したもの、次が黄緑に見えているオーバーグラスを介したもの、最後が濃い緑に見えているオーバーグラスで赤外線も紫外線もしっかり防護するものです。こうしてみると減光用以外については頼りになりそうですね。

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というわけで、今回の記事はまだ番外編ですが、できるだけ早くに電子工作にして本編に書けるようにしたいと思っています。

 

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