前に書いたデユアルGMTレコーダーの続編です。前回の基板を改善し同じものを作ろうとしましたが、ふと気づき、ここではそれを使ってクワッドにしてみました。
カウントが倍になるので、例えば僅か10秒でも大きな乱れなく検出できるのではないかと期待。ちなみに基板はデュアルの時のを改善して次のようにしました(164x100mm)。
3月末にCNCで次の基板を作成しておきました。この加工は20分強でできました。
計測用回路は2系統のままですが、次の理由によりそれぞれの系統で2つのGM管を束ねても問題ないと判断しました。
同一回路で2本束ねた場合の影響
信号を検出し送る際にPICプログラムはGM管デッドタイム内に十分収まる80µ秒だけ、いったん信号チェックをやめ、その後は平均2μ秒で信号が点検されます。つまり平均82µ秒の間に束ねた相手のGM管が信号を出してもチェックされないわけです。信号幅を考慮すると75µ秒程です。このへんの環境では約0.8秒に1度信号が起き、10倍の濃度なら約0.08秒に1度起きます。よって検出されない割合はこの範囲なら1万分の1から千分の1程度。束ねた相手が信号を出すのはもちろんランダムなので、これが検出されない割合になると思います。もちろん百倍濃いところ(ほぼないですが)では100分の1影響するわけです。
このGM管の電気容量
測定すると5.4pFしかありません。これなら束ねても影響なしと判断しました。束ねた状態で信号を見ると、束ねない場合と形状の変化は全くありません。
本機は最近ダイソーでみつけたB5フォルダーに収容しましたが、これは透明で丈夫なので助かります。また、厚さも26ミリほどで丁度良い感じ。数値表示のところに模様が重なるのは残念ですが、主にマイクロSDカードへの記録データだけを使うわけなので、これでよしとします。
裏から見ると次のようになります。回路基板の銅箔面はサンハヤトのスプレーで保護してあります。
今回は2系統の配線を十分離したのでクロストークなどの問題なし。配線もフォルダーの凹模様などを利用することでうまくできました。このケースは薄くて強いのでカバンの中に収めて持ち歩くには便利。
指定できる計測時間は10秒、30秒、2分、10分、30分、2時間、6時間、12時間としました。列車内で測る際などでは短時間での測定が必要ですが、10秒ならできますね。GM管の並べ方をデュアルの場合と同じようにしたので、凹凸の相互補完が同じように期待できるでしょうか。GM管を系統別に両側に分けることで、デュアルでは2系統が値を安定させているようにみえます。事前の実験では1つおきに並べた場合は、そうはなりにくいのに気づいています(測定間隔にも依存そそうなのでさらに検証したいと思います)。
つい先程測った30秒間隔での測定データを示します。
これをグラフにしたのが次のものです。
2系統を合計した値を用いてμSv/hに変換しています。本機は30秒でもバックグラウンドで120カウントほどとれますので、指数平滑法等は適用せず素データを直接使います。
さて、続いていよいよ10秒間隔での測定です。
10秒間隔なので全部でたった4分ほどです。
これをグラフにすると次のようになりますが、カウントが30~40程度なので凹凸が出ます。しかしホットスポット探しなどは、まずはこれで十分できそうです。 その次に30秒設定で測りなおせばよいわけですので。
シンチレーターを使うと、カウントはこれの10倍や100倍が出せるわけですが、環境を選ばない点など、手軽さではGM管が楽ですね。というわけで、持ち歩く場合は当分これを使いそうです。
なお、回路もプログラムも、前に書いたデュアルGMTレコーダー(次に示す記事)の場合と同じです。ただしμSv/h計算のところでは、当然ですが結果的にカウントを2で割っています(実際にはSDカード・データとして与えるキャリブレーションのカウント値をほぼ2倍にしているだけです)。
今回は幸い何も問題なくサクッとできました。趣味の電子工作なので短時間ずつしか使わず合計時間も少ないとはいえ、期間をかけるので頭の中では作業時間以外にもどこかで何度も考えているからうまく行くわけですね。余談ですが仕事で難しいものを征服するコツでもあると思います(ご参考 https://www.amazon.co.jp/dp/B079WNNHW8 )。
ではこのへんで。
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