勝手な電子工作・・

勝手なオリジナル電子工作に関する記事を書きます

役立つツール その1樹脂粘土

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黒と赤のソケットに注目

イガーカウンターの連載が続いたので、ここらで少し趣を変えたいと思います。題して役立つツール:電子工作の知恵で、ネットではあまりみかけない便利なものを時々ご紹介することにします。なお、放射線測定関連の記事が続きましたが、相変わらず時々新作を考えて作っています。よいものができたらまたご紹介するとします。

役立つツールの第1弾は樹脂粘土。これが電子工作の意外なところに便利に使えます。たとえば「ヘダーピンをソケットにする」ときなどです。上の写真の小さなパーツも樹脂粘土であっという間にできます。

最近はArduino用に市販の優秀なセンサーモジュールやパーツが沢山出ていて何に使うにも便利で経済的です。ほとんどがICのブレークアウトボードで、1/10インチ間隔のL型ピンがついていて、Unoやブレッドボードなどでの試作が容易になっています。ところがそれらを実装に使うには余計なL型ピンですね。

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ハンダを溶かして取り外すこともできますが、面倒であり第一に時間が無駄です。

L型ピンをそのままにして、出来合いのメスの端子やデュポンワイアーを使えばよいわけですが、ソケット部が長く、できあいのワイヤーもやたらに丈夫で太いため、引き回しがやりにくく使いにくいものです。かといって基盤を端でカットすると内部の重要な配線をカットしてしまうのが普通です。

適当な既成のソケットはほぼどれもサイズが大きく邪魔です。適当なメスのソケットを自分で組むのも手間。それすら面倒ならブレークアウトボードでなくICを直接使えば?・・といわれる方もおられるでしょうが、不器用な筆者には表面実装はなかなか時間がかかる事が多い^^;

ワイヤー付きメス平ピンの既成ソケットは形が大きいやらワイヤーが太いやらで使いにくいのですが、無理に使ってしまうことが多いです。デュポンワイヤーは1ピンずつで前述のとおり長くて実装では使いにくく、ほぼダメなことが多いですね。

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既成のコネクター付ワイヤーの例

探すのに時間がかかるのも困りものなので、それより、自分ではんだ付けをしてソケットを作るほうがずっと早い。しかしそのままハンダづけ部分をむき出しにはできません。そこで樹脂粘土をかぶせることを始めたものです。みかけは多少悪いですが、温度が下がればすぐ固まり、絶縁と補強はバッチリです。

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ハンダ付け箇所に樹脂粘土をかぶせて固めた

これと同じようなことをホットボンドでやろうとするとうまくできません。第一にホットガンを温める準備時間がもったいないし、不器用だとうまく形ができません。

そこで見つけた方法は、ホットボンドの材料1本を手に持ち、先を130℃ほどに設定したヒートガンで温め、やわらかくなったところをちぎって粘土のように指で整形するだけ。これだとわずか1分ほどで完了。冷えるとしっかり固まります。

ヒートガンにも色々ありますが、温度がしっかり調節できるものがよいですね。

次の写真は手ごろな130℃固定の小さなものでよさそうですが、バイメタル制御なので温度が95℃~140℃位を動きます。また事前加熱時間を少し要するので、この用途には今一つです。

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次のは少し大きいですが、電子制御のヒートガンなので迅速に温まり正確な温度でしっかりできます。

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さらに使いやすいのは、やはりステーション型の電子制御ヒートガンです。温度も正確ですし、あっというまに温まります。高温までカバーしているので表面実装のリフローにも使っています。他には熱収縮チューブ用にも。

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さて、材料の樹脂粘土としては、ホットボンド用ではなく次の写真のような、「温めると柔らかくなる樹脂粘土」がダイソーなどで売られています。それを使うと手にねばりつかずととても簡単です。粘土というだけあってやりやすい。色付きの粘土でしっかり作れば、きれいなソケットにもなります。

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熱軟化樹脂粘土

ただしホットボンドの材料の方が圧倒的に安く、20本で100円です。性質がよく似ているのに重さ当たりは100分の1程度の値段。

このようなものと反対に、熱すると固まる「熱硬化樹脂粘土」もあります。実はこれがとても便利。

こちらは熱するとかなり頑丈になりますので、部品の補強、修繕、成型などに使えます。時間はあっという間で、時間だけをいえば3Dプリンタとの比ではありません。

電子工作では大きなものを作ることはあまりないですから、熱硬化粘土の説明書に書かれているようなオーブンなどで温める必要はありません。ヒートガンで必要部分だけをチョコッとやればすぐにできます。これを使い始めたら便利この上ありません。

お勧めできますが保存をしっかりしないとだんだん固くなるようです(1年以上使っていますが今のところどの色も大丈夫です)。透明チャック袋にいれています。

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熱硬化樹脂粘土

各色数本入ってますが、欲をいえばよく使う黒がもっと欲しいところです。

樹脂粘土(熱軟化も熱硬化もどちらもですが)やホットボンドの用途は無数ですが、例えば次のような部品づくり(これは入手しにくい25GΩ抵抗を自作した例で封印に使用)などにも便利。

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基板を止めるネジやナットの回り止めをするなども、加熱軟化樹脂粘土をごく少し使えば簡単です。ちょっとつけて熱するだけです。もちろんホットボンドでもOK。

さらに、ICソケットの付け間違い(凹部を左右逆につけるなど)の際には、時間をかけてハンダをはずす面倒よりは、反対側を削り凹部を作り、元の凹部には熱硬化樹脂粘土を入れて加熱硬化させると面倒がなく直せて早いです。

他に色々な機器の修繕に便利に使えることはいうまでもないですね。次の例は筆者のCNC用のノートPC(パラレルポート接続のためPCが簡単に変えられない)の縁を修繕した例。

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欠けたノートPCの縁を修繕

熱を加える際には、関係ない部分を布等できちんと保護しながらやると問題が起きません。

もちろん修繕用途としては他にも無数。たとえば椅子。

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支えの折れた椅子を仮修繕。

粘土自体には力が直接かからないような修繕のしかたをすればとても有効、、、、あ、電子工作をどんどん脱線しそうですね。・・・今回はこのへんで。

 

ネットにあまりでてこない電子工作に「役立つツール」は他にもたくさんあります。時間のあるときに、続きをときどき掲載するようにします。

 

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